ショートコメント・日本経済 2008/01/28
異例の対応を迫られる米金融当局
米国では先週、FRB(連邦準備制度理事会)が0.75%の利下げを実施しました。定例会合1週間前の緊急FOMC(連邦公開市場委員会)で、昨年9月以降の今回の利下げ局面における最大の引き下げを決定したことは、異例の対応と言えるでしょう。
こうした対応を促した直接的な要因は、世界的な連鎖株安と考えられます。サブプライム(信用力の低い借り手向け)ローン問題に絡む金融機関の損失の一層の拡大に加え、昨年末以降発表された経済指標に悪化が目立ったことから、米国景気に対する懸念が高まっています。特に雇用や小売売上の悪化、消費者向けローン分野での延滞率上昇などを受け、GDP(国内総生産)の約7割を占める個人消費について先行き不安が生じています。こうした中、1月18日に米政府が、最大1,500億ドルに及ぶ緊急景気対策の骨格を明らかにしましたが、不安解消には至りませんでした。それどころか、心配されていた米国の金融保証会社の格下げが現実となり、金融市場の更なる混乱や金融機関の新たな損失につながるのではないかとの懸念が高まったこともあり、米国の景気鈍化(後退)懸念は世界景気の減速不安へとつながりました。そして、これが世界的な連鎖株安を引き起こしたことから、“金融市場の悪化→実体経済の悪化→金融市場の一段の悪化”という悪循環の芽を摘むべく、前倒し的に大幅利下げが実施されるに至ったと考えられます。
FRBが、経済成長にかなりの下振れリスクが残っているとして、景気の先行きに対する警戒姿勢を明確にしていることなどから、市場では、今週の定例FOMCでの追加利下げも見込まれています。また、景気下振れリスク抑制のため実質ベースでゼロ%近辺となる2%台まで追加利下げが続く、との見方も出始めています。(T.M.)

