ショートコメント・日本経済 2008/01/21
「産業のビタミン」レアメタル
レアメタル(希少金属)とは、地球上に偏在する存在量の少ない金属のことで、プラチナ、チタン、リチウムなど約30種類あります。現在、半導体が「産業のコメ」と呼ばれるのに対し、レアメタルは「産業のビタミン」と呼ばれることがあります。これは、製品の中枢を担うものではないものの、家庭用品から産業機械・ハイテク機器に至るまで幅広く用いられ、それを欠いては製品本来の機能を発揮することができないためです。
レアメタルの価格は上昇傾向にあり、近年は高騰が目立ちます。この原因は、供給・需要の両面にあります。供給面では、その希少性に加え、産出地が中国やアフリカ、ロシアなどに偏在するため、供給国の政治・経済情勢に左右され易いなど、価格交渉が供給側に有利に展開しがちなことがあります。例えば、中国は近年、自国のめざましい経済発展を支えるために、レアメタルの国内利用を優先する姿勢を強めています。需要面では、ハイブリッド車を駆動するモーター関連部分や、液晶テレビ、携帯電話、パソコンの電池、半導体など、レアメタルが使用される製品の拡がりがあります。しかも、新興国経済の台頭やハイテク機器の普及、環境意識の高まりなどに連れ、一層の需要拡大は必至であり、レアメタルの確保に向けた動きが一段と激しくなると予想されます。
日本は、レアメタルをほぼ全面的に輸入に依存していますが、同分野の外交では出遅れ気味です。しかし、経済産業相による初の南アフリカ共和国、ボツワナ共和国訪問が昨年11月に実現するなど、「レアメタル外交」がいよいよ動き出しました。また、各国に先駆け、代替材料開発を国家戦略と位置づけました。日本の代表的な輸出産業である、自動車やハイテク分野の国際競争力の将来がかかっているとの危機感を持って、これらの取り組みが今後一段と積極的に進められることが期待されます。(A.A.)

